60代になって面接を受ける。
若い頃にも何度か経験してきたはずなのに、この歳になって受ける面接はまったく別物でした。
面接官は、ほとんどの場合、自分より年下です。
状況によっては、息子や娘ほどの年齢の方が面接官ということもあります。
そんな面接室に入ったとき、私が最初に感じたのは、
👉 「自分の人生を見られているような感覚」
でした。
もちろん、面接官は私の人生を評価するために座っているわけではありません。
採用するために必要なことを確認しているだけです。
頭では十分わかっています。
それでも、60代という年齢で向き合う面接は、どこか特別な空気がありました。
面接官は質問をしているだけ。でも受ける側は違う。
面接が始まると、質問は淡々と進んでいきます。
おそらく、あらかじめ決められた質問なのでしょう。
面接官にとっては、毎日の業務の一つなのかもしれません。
しかし、受ける側は違います。
私にとって、その10分ほどの面接は、これからの生活がかかった大切な時間でした。
少し大げさに聞こえるかもしれません。
それでも、そのくらい一つひとつの質問に重みを感じていたのです。
「前職を辞めた理由を教えてください」
面接で聞かれた質問の中でも、一番印象に残っているのがこの質問でした。
「前職、前々職を辞められた理由を教えてください。」
企業側からすれば、ごく自然な質問です。
退職理由を知ることで、
「長く働いてくれる人なのか」
「すぐ辞めてしまう人ではないか」
そうした判断材料にしたいのでしょう。
だから私は、できるだけ誤解を招かないように言葉を選び、落ち着いて答えました。
でも、その一方で、心の中では別の自分がいました。
「嫌なことを聞くなぁ……。」
そんな本音が、一瞬だけ頭をよぎったのです。
会社を一年ほどで辞めた話に、胸を張って話せるような円満退社ばかりがあるわけではありません。
誰にも、それぞれ事情があります。
悩みながら決断した人もいれば、眠れない夜を過ごした人もいるでしょう。
私にも、私なりの理由がありました。
だからこそ、この質問は少しだけ胸に刺さりました。
一つの質問で、何年もの記憶がよみがえる
不思議なものです。
面接官は一つ質問しただけなのに、
私の頭の中では、何年もの出来事が一瞬でよみがえっていました。
会社を辞めようと決めた日のこと。
家族と何度も話し合ったこと。
退職届を書いた日のこと。
送別会で笑っていた自分。
そして、新しい土地へ移住したこと。
面接官は、それらを知ることはありません。
履歴書には、会社名と勤務期間が一行書かれているだけです。
でも、その一行の裏側には、その人だけの人生があります。
私は、そのことを改めて感じました。
「人生を見られている」と感じた理由
振り返ってみると、私が「人生を見られているような感覚」になったのは、面接官のせいではなかったのかもしれません。
質問を受けるたびに、自分自身がこれまで歩んできた人生を思い返していたからです。
だから緊張した。
だから言葉を選んだ。
だから、たった10分ほどの面接が、とても長く感じたのだと思います。
面接とは、人に評価される時間であると同時に、
自分自身の人生を見つめ直す時間でもある。
そんなことを考えながら、私は面接を終えました。
後編では履歴書1枚では書ききれない人生がある
について書きたいと思います。
【60代の面接・後編】履歴書一枚では書ききれない人生がある
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この面接だけで、私の転職活動が終わったわけではありません。
不採用に落ち込んだ日もあれば、働き始めてから新たな壁にぶつかった日もありました。
62歳からの再就職で実際に経験したことを、順番に記事にしています。よろしければ続きも読んでいただけるとうれしいです
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