登録販売者としてドラッグストアで働き始め、毎日たくさんのお客様をお迎えしています。
私は登録販売者の資格を持っていますが、今はまだ見習いです。
「登録販売者」と聞くと、薬の知識を生かしてお客様にアドバイスをする仕事を思い浮かべる方が多いでしょう。
ところが、今の私が一番悩んでいることは、資格とはまったく関係のないことでした。
もしかすると、
「そんなことで悩むの?」
と思われるかもしれません。
でも本人にとっては、とても深刻な悩みだったのです。
今の私の仕事は品出しとレジ

現在の主な仕事は、朝の品出しとレジ業務です。
レジは機械の操作を覚えれば対応できることが多く、イレギュラーなケースでも先輩を呼べばほとんど解決できます。
しかし、品出しは違いました。
商品ごとに細かなルールがあり、どこへ置くのか、どう並べるのか、どの商品から補充するのか。
覚えることが想像以上に多く、その場その場で判断しなければならないことも少なくありません。
少しずつ慣れてきたとはいえ、まだ体が自然に動くところまでは至っていません。
私を一番悩ませたのは「納豆」でした

実は私が一番悩んでいたのは、
納豆をきれいに並べられないことでした。
納豆は毎日よく売れる商品です。
そのため入荷量も多く、短時間で大量に陳列しなければなりません。
ところが私は、どうしてもきれいに並べることができませんでした。
先輩から注意を受ける。
やり直してもらう。
また注意される。
そんな日が続くと、先輩も決して悪気はないのでしょうが、少しイライラしているように見えてしまいます。
そして何より、自分自身が情けなくなりました。
「こんなこともできないのか……」
そんな気持ちになっていたのです。本当の原因は納豆ではありませんでした
実は今になって思えば、納豆そのものが難しかったわけではありません。
納豆を並べる頃になると、周りでは先輩方が品出しを終え、片付けを始めています。
店内には「今日の仕事を終わらせよう」という空気が流れ始めます。
その中で、自分だけがまだ納豆を並べている。
「早く終わらせないと。」
「自分だけ遅れている。」
そんな気持ちが頭の中をいっぱいにしてしまうのです。
焦れば焦るほど、冷静に周りを見る余裕がなくなります。
普段なら気づけることにも気づけない。
一つ一つ確認すれば済むことなのに、その確認さえ忘れてしまう。
今振り返ると、私が納豆を並べられなかった原因は技術だけではありませんでした。
焦りが、私から冷静な判断を奪っていたのです。
人は焦ると、本来持っている力まで発揮できなくなる。
そんな当たり前のことを、私は納豆売り場で身をもって学び始めていました。
思い切って大先輩に教えてもらうことにしました

悩んだ末、私は一番経験豊富な大先輩にお願いしました。
「もう一度、納豆の並べ方を教えてください。」
実は、悩んでいることはあえて話しませんでした。
どうせ教えていただくなら、一番上手な人から学びたい。
そう思ったのです。
大先輩は嫌な顔ひとつせず、
「いいですよ。」
と笑顔で快く引き受けてくださいました。
私は隣で、一つひとつの動きを真剣に見ていました。
「どんな特別なコツがあるんだろう。」
「何か裏技のようなものがあるのかもしれない。」
そんなことを考えながら見ていたのですが、実際にはそんな特別なテクニックはありませんでした。
あるのは基本に忠実な作業だけ。
でも、その基本の中に、私は一つだけ大切な手順を間違えていたことに気づきました。
たった一つ。
本当にそれだけでした。
ところが、その一つが違うだけで、仕上がりはまったく変わってしまうのです。
「そういうことだったのか……。」
思わず心の中でつぶやきました。
もし焦らずに作業できていたら、自分でも気づけていたのかもしれません。
でも、私は毎日「早く終わらせなければ」という気持ちばかりが先に立ち、一番大切な基本が見えなくなっていたのです。
「大丈夫ですよ」の一言に救われた
作業が終わると、大先輩は私の方を向いて、穏やかな表情でこう言ってくださいました。
「大丈夫ですよ。」
その一言を聞いた瞬間、不思議なくらい肩の力が抜けました。
私はその日まで、
「また注意されるかもしれない。」
「また迷惑をかけてしまう。」
そんなことばかり考えていました。
だから、いつも焦っていたのです。
でも、その一言で、
「焦らなくてもいいんだ。」
「ちゃんと覚えればできるようになるんだ。」
そう思えるようになりました。
たった一言なのに、人の気持ちはこんなにも変わるものなのですね。

先輩方も同じ道を歩いてきた
その日の帰り道、いろいろなことを考えました。
今まで何度も注意してくださった先輩も、決して私を責めたかったわけではありません。
仕事を覚えてほしい。
一人前になってほしい。
その思いがあるからこそ、何度も教えてくださっていたのです。
忙しい中で手を止め、私の失敗をフォローしてくださる。
それは決して簡単なことではありません。
以前の私は、自分が失敗したことばかり考えていました。
でも今は、教える側にも大きな苦労があることが少し分かるようになりました。
そして、ふと思いました。
今は仕事をテキパキとこなしている先輩方も、きっと最初から何でもできたわけではない。
誰もが新人だった時代があり、失敗し、注意され、悩みながら今の姿になったのではないでしょうか。
そう思うと、不思議と気持ちが楽になりました。
焦りは判断力を奪う
今回、私が学んだのは納豆の並べ方だけではありません。
人は焦ると、本来できることまでできなくなるということです。
「早く。」
「迷惑をかけたくない。」
「自分だけ遅れている。」
そんな気持ちが強くなるほど、冷静な判断ができなくなってしまいます。
仕事だけではありません。
私たちの日常生活でも、焦って失敗した経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
待ち合わせの時間に遅れる。
締め切りが迫っているのにまだ終わらない。
こんなことが起こると人は自分を失ってしまうのです。
だからこそ、焦った時ほど一度立ち止まり、深呼吸をして、基本に戻ることが大切なのだと感じました。
「もう一度教えてください」と言える人でありたい
年齢を重ねると、
「こんなことを聞いたら恥ずかしい。」
「今さら聞けない。」
そんな気持ちになることがあります。
私もそうでした。
でも今回勇気を出して、
「もう一度教えてください。」
と言えたことで、一歩前に進むことができました。
分からないことを素直に聞く。
教えていただいたことを素直に受け入れる。
それは決して恥ずかしいことではなく、成長するために必要な姿勢なのだと思います。
もしかすると数か月後には、私も新しく入ってきた方へ納豆の並べ方を教える日が来るかもしれません。
その時は、今回大先輩から掛けていただいたように、
「大丈夫ですよ。」
そう自然に言える先輩になりたいと思います。
もし今、新しい仕事で思うようにいかず落ち込んでいる方がいらっしゃるなら、安心してください。
その悩みは、決してあなただけではありません。
私も今日、納豆売り場で同じように悩みながら、一歩ずつ成長しています。
皆さんにも、当時は本気で悩んだけれど、今思えば笑顔で話せる出来事はありませんか。
よろしければ、ぜひコメントで教えてください。

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